Q.01
小尾さんが声優を志したきっかけは何だったのでしょうか?
子供の頃からアニメが大好きで、中高生になってもその気持ちはまったく衰えることなく、アニメ好きから声優にも興味を持ってしまった根っからのオタクだったんですよ。
最初は声優さんが好きなだけで、自分が声優になりたいだなんて思ってなかったです。
そんなある時、あるアニメーション作品を観て、主人公を演じる声優さんの演技に私の価値観が一気に上書きされてしまいました!
脳天に雷が落ちたような衝撃でしたね。
次の日には高校演劇の顧問を訪ねて、「声優になりたいんだけど、どうしたらいい?」って押しかけてしまいました(笑)。
我ながら凄い行動力でしたね。
Q.02
実際に声優として活動するようになって、声優を目指していた頃との間に、考え方の変化はありましたか?
「与えられた役、作品、物語に感情移入して魂ある表現をする!」
この想いは、デビューから現在も変わらないです。
ただ、「エンドユーザーに何を届けたい? 感じてほしい? 楽しんでほしい?」という客観的な考え方、捉え方ができるようになりました。
我々の仕事はエンターテイメントです。
それこそが「夢を届ける」素敵なお仕事なのです。
Q.03
声優として活動する中で、後進の指導にも携わるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
専門学校在学中に主役で声優デビューしたので、それもあって早い内から専門学校の体験入学にゲストで呼ばれて、アフレコ実習を任されるようになったんですよ。
そこでの実績を買われて、26歳から講師としても雇われるようになりました。
Q.04
最初に人を教える立場になったとき、どんなことを感じましたか?
「そんなもんじゃプロの現場では通用しないぞ!」
プロの世界は強者揃いです。
そんな強者たちと肩を並べて仕事していくためには、生半可な努力と才能だけでは生き残っていけません。
私自身が色々な現場でそれを経験してきたからこそ、「まだまだそんなもんじゃ足りないぞ!」という使命感が凄かったです。
Q.05
実際に指導を続けてきた中で、「人を育てる」ということに対する考え方は変わってきましたか?
20年以上ボイストレーナーをしてますが、未だ苦悩の日々ですね。
人それぞれ当然「個性」が違うから、誰かには「この教え方が良かった」からといって、全員にそれが効果的か? は違うんですよ。
個人を教え導くことの難しさと向き合う姿勢は、毎年更新されていきますね。
Q.06
現在、小尾さんはGEAR・UPでメンターとして所属者の指導やアドバイスをされています。小尾さんにとって「メンター」は、どのような役割だと考えていますか?
演技や技術を教えることもそうですが、私の一番の想いは、「これからの業界に羽ばたいていく若き才能を導く羅針盤」。
そういうメンターでありたいです。
Q.07
一人の役者と向き合うとき、小尾さんはどんなところを見ていますか?
実は演技以前に、その人の「目線、所作、受け答え、反応」を見てます。
演技って、その人の「人となり」がかなり出るんですよ。
そういう所から演技指導が始まります。
Q.08
役者にフィードバックをするとき、特に大切にしていることはありますか?
実はこれが一番悩むポイントなんです。
どう伝えれば理解してくれるか? どういう順序で導けば成果が出るのか? どこを伸ばしていくべきか?
人それぞれ違いますからね。
私自身も相手を観察しながら、その人に合ったフィードバックを心がけてます。
Q.09
「教えること」と「本人に気づいてもらうこと」について、小尾さんはどのように考えていますか?
授業は「教え導く」ことがテーマですが、ただ与えるだけでは「自分で考える力」が身につかないんですよ。
なので、いきなり答えを教えるのではなく、「ヒントを与えて自分で考え、一つ一つ気づいていく」。
これが理想的ですよね。
Q.10
これまで指導してきた中で、「この人は変わった」「成長した」と感じるのは、どんな瞬間ですか?
授業頭に課題の演技発表をしてもらうのですが、そのファーストテイクで「良いね」と感じた時。
特に新しい題材を初めて発表してもらった時に「良いね」って感じた時に、成長を感じて嬉しくなります。
Q.11
反対に、なかなか成長につながらない人には、どんな傾向があると感じますか?
助言への理解が足りていない。
助言をしてもすぐ忘れてしまって、次に繋がっていかない。
言われた助言はその時には生きるんだけど、新しい題材に変わると応用ができなくて、また1からのスタートに戻ってしまう。
このループになってしまう人がいます。
これだと結果的に成長はできません。
Q.12
GEAR・UPでは、学んでいる途中でもオーディションを受けたり、実際の仕事を経験したりします。現役の声優であり、指導する立場でもある小尾さんは、この環境をどのように捉えていますか?
ガジェットリンクに在籍している皆んなにチャンスが与えられる訳ですから、やり甲斐がありますよね!
要はオーディションに受かっちゃえば、声優の仕事ができる!
まぁ、オーディションに合格するのが大変なんですが(笑)。
「チャンスを射止めるためにもっとスキルアップするぞ!」というモチベーションになりますね。
Q.13
実際の仕事やオーディションを経験したことで、本人の意識や芝居が変わったと感じることはありますか?
もちろん感じますね。
私は、誰がオーディションに受かってどんな仕事をしたのか? まで把握はしてません。
ですが、授業で表現を聞いていると感情のノリが良くなってるんですよ。
「これはきっと何かオーディションに受かって仕事をしたな?」と、心の中でニヤリとしてます(笑)。
Q.14
GEAR・UPでは、自分で録音した音声を提出し、フィードバックを受け、再び取り組むという形の指導も行っています。この方法を実際に続けてきて、どのように感じていますか?
1人で練習していると、「これでいいのか?」と分からなくなるんですよね。
そんな時に、このシステムはとてもありがたいですね。
答え合わせができるし、「どうすればいいのか?」の道標を与えてくれる訳ですから。
ただ重要なのが、与えられるだけではなく、それを次に活かせるように積み重ねていってほしいですね。
Q.15
GEAR・UPはオンラインを中心に指導を行っています。実際にオンラインで指導を続けてきた今、オンラインで役者を育てることについて、どのように考えていますか?
5年以上オンラインレッスンをやってきましたが、稽古場での対面授業と比べても、オンラインによるデメリットはほとんど感じませんね。
オンラインでは授業内容に合わせて、複数人でもできれば、個人でも指導できます。
クラスに合ったスタイルで授業進行を工夫できるのが、オンラインの利点です。
Q.16
同じ環境で学んでいても、一人ひとり課題も成長の仕方も違います。個々に向き合う上で意識していることはありますか?
過去に効果があった教え方だったとしても、それが全員に効果があるとは限りません。
なるべく個人の良い所、弱い所を覚えておいて、その人に必要な順序や伝え方をすることは意識しています。
目的は「スキルアップ」なので、その糸口を見つけるために日々戦ってます!
Q.17
長くこの業界で仕事を続けていくために、大切だと感じていることは何ですか?
「愛」です。
演技に対しても、携わる作品やキャラクター、関係者の皆さん、支えてくれる全ての人への「愛」です。
演技を何故続けるのか?
それは単純に好きだから続けるし、止められない。
「愛」こそが原動力なのです。
ちょっとくさいか(笑)。
Q.18
最後に、これから声優を目指す人、そして現在この業界で活動している人に、一人の声優として伝えたいことをお願いします。
声優とは「声の魔法使い」だと思ってます。
声には魂が宿るし、その声で相手を魅了することもできちゃう♪
とても影響力ある職業です。
もちろん大変なことも、落ち込むことも沢山あります。
でも、そんな出来事も全てが「表現」になる!
この夢ある世界を盛り上げていくのは若者たちの力です。
業界はいつだって才能ある人材を求めています。
次の「主人公」になってみませんか?